気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
籠の鳥
𓆸 𓆸
蘭野くんの話はきちんと断った。
それに、京櫻家と黒菊家、両者同意のもと、事業の提携契約に併せて婚約の話も進んでいる。
歴くんとずっと一緒にいられる。
そう確信できるはずなのに……。
どうしてか、毎日、漠然とした小さな不安が拭えない。
それを示唆するかのように、今朝、うっかり落としたお皿が割れてしまった。
加えて、天気予報を確認するために付けたテレビの占いは最下位。
沈んでいたところに、
「叶愛」
と歴くんから声がかかる。
「俺今日遅くなるから、放課後は事務所じゃなくてマンションに送ってもらって。龍にも伝えとくけど」
「はい。……わかりました」
大丈夫。
お皿が割れたのは偶然。
占いの最下位なんて、十二分の一の確率でやってくるんだから、気にしちゃだめ。
歴くんの帰りが遅くなるなんて、いつものこと……。
──大丈夫。
再度言い聞かせて、マンションをあとにした。