気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
中に入っていたのは、複数枚の写真。
写っているのは、MAPLE PALACEで働いていたときの私だった。
学校の裏門を抜けるところから、駅ビルに立ち寄るところ。
そして、上からパーカーにメガネ姿で駅ビルから出てくるところ。
繁華街へ向かうところ、MAPLE PALACEの裏口から中へ入るところ。
メイド仕様の制服を着て、接客をしているところ……。
これはたぶん、店外からズームで取られたもので、若干ぼやけてはいるものの、
これだけ写真が揃っていれば、前後の姿から、中にいるのは私だとわかってしまう。
それにしても……どうして蘭野くんがこんなものを……。
「叶愛ちゃんがバイトをしてることはずっと知ってたんだ。毎日のように裏門から出ていくから、どこに行ってるのかなって……気になってあとをつけた」
「……っ」
背筋に冷たい汗が滲んだ。
つけられてたこと、全然、気づかなかった。