気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
「最初は見間違いだと思った。だってどう考えても変でしょ、いいところのお嬢様が、コンカフェなんかでアルバイトだなんて。
バレたら笑いものになっちゃうもんね」
「バイトをしてたのは、自分の勉強のためで……」
「いーよいーよ、全部わかってるから。娘を働きに出すほど黒菊家ってお金がなかったんでしょ? 庶民に紛れて働くなんて、すごく惨めだったよね」
惨め……?
たしかに、自分でお金を稼がなくちゃいけない状況は惨めだったけど、
あのお店で働くこと自体を惨めだと感じたことは一度もない。
「それで、その写真を私に見せて、どうしろと……?」
「そりゃあ、みんなにバラしちゃうかなあ」
「………」
「もちろん、叶愛ちゃんが僕と結婚するっていうならやめてあげるよ」
慌てたら相手の思うツボ。
冷静に頭を働かせる。
この写真でわかるのは、私がコンカフェで働いていたこと。