気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
……大丈夫、バラされても。
黒菊家の事業はたしかに落ち込んでいるけど、なにも借金をしているわけじゃない。
娘を働きに出させるほど苦しかったと噂されたとしても、プライドの高いお父さんならきっと、意地でもそれは違うと証明してくれる。
コンカフェで働いていたことは否定できなくても別にいい。
誰がなんと言おうと、恥ずかしいお仕事なんかじゃないから。
対人スキルを身につけるために自分の意志で働いていたことを言えば、納得してもらえるはず……。
「結婚をお受けすることはできません。この写真、ばらまいていただいて、大丈夫です」
今ここでびりびりに破くことも一瞬考えたけど、どうせ元のデータは彼が持っているだろうからやめた。
「ふうん、ほんとにばらまいちゃっていいの? 写真、全部見た?」
「……え?」
「お金稼ぐために、店の規律違反の枕営業までしてる女の子だって、みんなが知ったらどう思うかな」