気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
なんのことか全くピンとこなかった。
急いで写真をもう一度確かめる。
最後の一枚目を見て、息が止まりそうになった。
夜道で、大沢さんに手を引かれながら歩く私──────。
繁華街から少し裏に入った通路。
写真の背景には、ホテルのネオン看板が映りこんでいる。
呆然とした。
その先にある住宅街を自分の家だと偽った罰が、こんなところで返ってくるとは思わなかった。
誤解だと主張したところで、きっと、誰も信じてくれない……。
追い打ちをかけるように蘭野くんは続ける。
「それにさ、叶愛ちゃん。お金に困るあまり、お店の十万円を盗んだんだって……?」
「──っ、……え」
ぐら、と目眩を覚えた。
「店長のおかげで警察に連れて行かれずに済んだんでしょ?」
「……、……」
否定しようにも、喉が張り付いたみたいに声が出ない。