気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
どうして、蘭野くんが知ってるの……?
記憶がフラッシュバックする。
お金を盗ったのは断じて私じゃない。
でも、私のカバンにお店の十万円が入っていた。
───誰かが、私のカバンに入れたんだ。
罪を着せて、お店を追い出すために……。
疑いようのない事実から、無理やり目を逸らしていた。
私を陥れようとする人が、MAPLE PALACEの中にいるなんて思いたくなくて。
ずっと……必死に思い出さないようにしてたのに。
今になって、蘭野くんの口からその話を聞くなんて、誰が想像できただろう。
「あはは、驚いて言葉も出ない? 最近、叶愛ちゃんが裏門から出ていくところを見ないなあって思ってさ……あのお店を覗きに行ったんだ」
「……、……」
「叶愛ちゃんの友達ですって言ってちょっとお金握らせたら、店長のラムって人が、ぜーんぶ教えてくれたよ」