気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
少しでも気を抜いたら足元から崩れ落ちそうだった。
ショックで指先がずっと震えている。
縁談の話をきいたとき、すでに私がコンカフェで働いているのを知っていたんだ。
知っていながら黙ってて、いざとなったら使える情報として、切り札のように持っていたってこと……?
いつもにこやかで勉強もできて、人望も熱くて。
優しい人だと思ってたのに……。
「どうかな、これでも僕と結婚しないって言える?」
もうさっきみたいに冷静に頭が回らない。
旧財閥の娘だということを隠して働いていたコンカフェで、枕営業をしていた、窃盗の罪にまで問われていた。
そんなことを噂されて、困るのが私だけだったら全然構わない。
でも娘の評判は家の品位に直接関わる。
特に、お金を盗んだなんてことが世間に広まったら……。