気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
先のことを想像して意識が遠くなる感覚がする。
放課後で賑わっているはずの周囲の声はまるで聞こえなかった。
でも、黒菊家なんて───。
今までずっと私を虐待していて、学費も生活費も出してくれず、離れにまで追いやった人たちなのに。
少しくらい、いいんじゃないかな、世間に悪く言われても。
歴くんと結婚すれば、私はもう、黒菊とは関係ないし……。
追い詰められた頭に、ふと、そんな暗い考えが浮かんだ矢先。
「これでも叶愛ちゃんが結婚を渋るっていうなら、まずは瑠衣くんの中学校にこの写真を添えて文書を送ろうかな」
──瑠衣。
「元コンカフェ嬢、客と枕、挙句に窃盗。そんなお姉さんがいるなんて学校で噂されたら、みんなに笑われて、蔑まれて……可哀想なことになるんじゃない?」