気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

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黒菊家に戻ったら、まず一番に殴られるだろうと思っていたのに、

いやに静かな態度で父の書斎に通された。


放課後、蘭野くんに見せられた写真と同じものをテーブルに広げられ。ひとつずつ事実を確認させられた。




「この写真に写っているのは私で間違いはありません。ただ……、男性と手を繋いでいるのは、帰りに送ると言われ、断れなかったときのものです。ホテルにも断じて入っていません」


「……そうか。では金を盗ったというのはどうなんだ？」


「本当にやっていません。恐らく、お店の誰かが私に罪を着せて、追い出そうとしたのだと思います」



お父さんはしばらく何も言わなかった。



「……まあ、お前は出来の悪い娘だが、金を盗むような頭の悪い真似はしない。それはわかっている」


抑揚のない声が落とされた。