気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
今日も、人の波と反対に裏門へ向かう。
狭い道路。ふと、後ろから車のエンジン音が聞こえてきた。
隅に避けながらも、このまま、轢かれたら楽になるのかな……とぼんやり考えた。
歩みを緩めて通り過ぎるのをじっと待っていたけど、追い越していく気配がない。
あれ……? と、顔を上げれば。
「叶愛サン!!」
直後、強い力で腕を引かれた。
振り向いた先で視線がぶつかり、どく、と心臓が跳ねる。
「りゅ、う、くん?」
「やっと見つけた。ずっと探してたんですよ! 毎日学校まで迎えに行ってたのにいなくて……。まさか裏門から出てたなんて」
「……、……」
瞬きを繰り返す。
毎日、迎えに行ってた……って。