気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

もしかして、私がマンションを出ていったことを知らないのかな?

ううん、龍くんは歴くんの側近なんだから、そんなはずない。



「どうしたんですか……。なんでここに、」


「なんではこっちのセリフっすよ! あんなに毎日歴君といちゃいちゃラブラブしておいて、急に黙って黒菊に戻るとかなんなんですか!」


「っ、だ、黙って出ていったのは申し訳ありません。両親たちを説得してすぐにマンションに戻るつもりだったんですけど……、できなく、なってしまって…っ、…」



落っこちた涙がアスファルトに染みをつくる。



「泣かないでください、ややこしい話はあとです。事務所に行きましょう!」

「や……っ」


引かれる手を、思わず振り払ってしまう。


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