気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
「おい」
外へ出て声をかける。
さっきの男含め、三人が同時に動きを止めた。
「歴さん」
「その子どもから離れろ。俺が話を聞く」
大人しく退いた二人の後ろから、知った顔が現れた。
……やっぱり叶愛の弟だったか。
なんの目的で?
つーかその前に。なんでここの場所がわかった?
叶愛が教えたのか……?
そいつは俺と目が合うなり駆け寄ってきた。
「っ、京櫻、さん……」
「なに。俺のこと殺しに来たの?」
「ちがっ、この前は本当にごめんなさい! お願いがあるんです、叶愛お姉ちゃんを助けてください……!」
そう言うなり俺の足元に跪いて……土下座にも近い体勢で頭を下げる。
屈み込んでそいつの目を見た。
「助けてってなんだ」
「お、お姉ちゃん……蘭野くんと結婚させられそうになってて、っ、このままじゃほんとに、結婚しちゃう……っ」
頭が混乱した。