気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす


「──で、最終的に俺のところに来たと」


瑠衣が「はい」と小さく返事をする。



「お前、よくこの事務所がわかったね」

「……。最初に、お姉ちゃんが働いてたMAPLE PALACEに行ったんです。でも、店長さんに子どもが一人で来る場所じゃないって追い返されて、一回途方に暮れました」



元店長が引き抜かれたあとの繰り上げで自動的に就任しただけのあいつなら言いそうだな……と、ひとりの女の顔が浮かぶ。



「そのあとも繁華街をうろうろして、色んな人に京櫻さんの場所を教えてくださいとお願いしたんですけど、まるでだめで」

「………」

「疲れて座り込んでたら、きらりさんって人が声を掛けてくれて……。時間がないから直接案内はしてあげられないけど……って、ここを教えてくれました」


また別の女の顔が浮かぶ。

叶愛のことをえらく気に入っていた女だ。

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