気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
「事情はわかった。その件はなんとかするから、とりあえず家に帰って待ってな」
「っ、ほんとですか! ありがとうございます……!」
「要するに蘭野に、黒菊から手を引かせればいいんだろ」
「はい! でも本当にできるですか? お姉ちゃんはもう昨日から蘭野くんちに住んでて……。それに、蘭野くんは良くも悪くも頭がすごく良くて、手段を選ばない人だし……」
「んー大丈夫、できるよ」
蘭野が手段を選ばないように、こちらも手段を選ばない。
前にお前が言った通り、極悪人だからね。
近くにいた男に瑠衣を車で送るよう言って、姿を見送った。
煙草に火をつける。
感情に任せて蘭野家まるごと消してもいい……が。
それだと叶愛が傷つくだろうから、理性的に済ませてやるか。
吸い終わって、すぐにジャケットを羽織った。
「歴さん、出掛けられるんですか」
「ああ」
「どちらへ?」
「コンカフェ」
「はい?」
「ちょっと調べたいことができた」