気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
蘭野家に来て三日目、金曜日の夜。
昨日と一昨日は、運び入れた荷物の整理や、蘭野くんの両親、他の親族の人たちに挨拶を済ませるだけで過ぎてしまった。
問題なのは、今夜から。
黒菊よりも広いお屋敷なのに、どうしてか今日付けで蘭野くんと同室にさせられた。
今は蘭野くんがお風呂に入っていて、部屋には私ひとり。
先にお風呂に入れてもらって課題を済ませていたけど、
蘭野くんがお風呂からあがったあと、ふたりきりになると考えるだけで気が重くなる。
話したくないな……。
シャープペンを手放して、そのままベッドへ移動した。
大きな一部屋の中にも扉付きの仕切りがあって、幸いベッドは別々でプライベートも守られている。