気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
ごろんと寝転んで考えるのは歴くんのことばかり。
会いたいな……。
「歴くん……」
もう何度目かわからない名前を呼んだときだった。
「ねえ、その歴くんって誰のこと?」
そんな声と同時、とつぜん開いた扉にびくっとする。
「叶愛ちゃん、好きな人がいるって言ってたよね」
「っ、……」
いつの間にお風呂から上がったんだろう。
全然気配がなかった。
呼んでしまった名前を咄嗟に誤魔化そうと言葉を探すけど、それより先に、蘭野くんがギシ……とベッドに手をついてくる。