気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

二人が、ホテルに入っていくところ……。


私が大沢さんとの写真を撮られたときと同じように、たまたまそこにホテルがある、という、でっちあげの証拠ではなさそうだった。

写真が次々にスライドしていく。

腕を組んだ二人が扉の中に消えていくまでのすべての瞬間が切り取られていた。



「言っとくけど、合成じゃないよ? ちなみに、コレ昨日の夜の写真だから」



昨日の夜……?

私はいつも、夜は歴くんのことばかり考えて、眠れなくて……。


だけど、歴くんは他の女の人とホテルに行ってたの……?



「あーあ、泣いちゃったね。ごめんね? でも、本当のことを知っておいたほうが、叶愛ちゃんも諦めがつくかなって思ったんだ」



ぽろぽろ零れていく涙を、蘭野くんが指先で拭って。


「っ、いや……」


思わずその手を振り払ってしまう。



「大丈夫だよ。僕がすぐに忘れさせてあげるね」

「や……」

「怖がらないで、優しくするから」


組み敷かれる。

手首を掴まれれば、体はもうビクともしない。


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