気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
狂ったように叫び声をあげながら出ていく彼の姿を、私はぽかんと見つめていた。
いったい何がどうなってるのか。
全く状況が理解できない。
「……ってのは、嘘なんですけどねー……。って、あらら、もうどっか行っちゃいましたね」
ひょいと肩をすくめてみせ、龍くんはこちらに歩いてくる。
「お久しぶりです、叶愛サン」
「な……龍くん、どうしてここに……えっと、ところで今のは……」
「叶愛サンを連れ戻しに来たに決まってるじゃないですかー。蘭野を強請るための材料集めしてたら、ちょっと遅くなっちゃいましたけど」
ぱちぱち、と瞬きをする。
「さっ、帰りましょ! まろんも待ってますよ」
「え? いや、でも……私は蘭野くんとの婚約が決まってしまって……もうこの家に……」
「大丈夫です、クソ野郎との婚約は確実になくなります。今さっき、歴君が潰しにいったので」