気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
「ウチの事業がここ数年ずっと下火なのは、叶愛お姉ちゃんも知ってるよね」
「……うん」
ウチに限ったことじゃなく、かつて栄華を極めていた周りの名家も、ここ数年は衰退傾向にあるところが多い。
有益な権力者と経済的同盟を結んだり、派閥の傘下に降るなどして危機を脱していると聞く。
「この頃特に傾き具合がひどいみたいで、早々に手を打たないとって父さんたち焦ってて……。だから、蘭野家と手を組んで支援を貰いながら事業を立て直すって言い始めたんだ」
ついに涙声になった瑠衣の背中を慌ててさすった。
「そうだったんだね、教えてくれてありがとう。泣かなくていいんだよ、瑠衣は何も悪くないでしょ?」
「ううん。オレがまだ十二歳で……次期当主としてなんの力もないせいで叶愛お姉ちゃんの政略結婚を図るしかなくなったんだよ」
はっと胸をつかれる。
まだ小学生と幼いのに、家のことでこんなに思い悩んでいたなんて。