気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
幸い、蘭野くんは同級生の幼なじみなのでお互い面識もあるし、クラスは違うけど学校も同じ。
廊下ですれ違ったらあいさつを交わすし、時々話したりもする。
見ず知らずの男性と結婚させられることも珍しくない中で、相手が蘭野くんだったのは運がいいほうだと思う。
私なんかが相手で、蘭野くんには申し訳ない、けど……。
結納は来週の土曜日。
今日の日付から逆算すると、あと八日。
私は抗う心を捨て、その日を静かに待つことにした。