気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
急いで降りようとドアハンドルに手をかけるも、運転席でしか開閉操作ができないのか、びくとも動かず。
大人しく開けてくれるのを待っていたけど、一向にその気配がない。
「あのすみません、ドアを──」
「細いな」
「へ?」
勇気を出して声を掛けたことに対し、なんの関係もない単語が返ってきてキョトンとする。
「お前ちゃんと食ってる?」
おもむろに伸びてきた指先が、首筋の輪郭をつーっと撫でる。
「ひぁ……」
「触ったらすぐ壊れそう」
そのまま、滑るように胸のあたりまで下りてくるからびくっとした。
「細っそいし胸も小さいし」
「っ、あ……、やぁ、」
「けど相変わらず体は敏感なんだな」
耳元で囁かれ、ぞく、と甘い刺激が駆け抜けた。
うそ、運転手さんもいるのに……こんな……っ。
これ以上、声が漏れてしまわないように唇を噛む。
目の前の相手が何を考えているのかまったく読めない。
「毎晩お前を可愛がってる男でもいんの?」