気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
チップ……?
チップって、海外とかで商品の値段とはまた別にサービス料として払うお金のこと、だよね。
それを歴くんが、私に……?
「わ、私、チップを頂けるほどの働きは何もしてません……」
「謙遜しないのっ。素敵な接客をしてくれたからって帰り際すごく嬉しそうに話していらしたんだよっ!」
そんなはずない。
私は名刺を切らしていると嘘をついて、歴くんの気分を害してしまったのに。
「歴さん、ノアたんのことすっごく気に入ったみたい! コンカフェには珍しいタイプの女の子だから、何か事情でもあるのかって気にしてらっしゃったし……」
「っ!」
ひやっとした。
「学費と生活費のために学業と両立して頑張ってるみたいですよって話したら、これを頂いたんだ」
「……、……そう、ですか」
「あ、もちろんノアたんのことは大学生って紹介してるから心配しないでね!」