気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

初回は、たしかラムさんをご指名されてたはずだけど……。

蓼食う虫も好き好きとはよく言うもので、ときどき指名が来るたびにびっくりする。


それとも、あれかな。

美人ばかりを見すぎて、たまには地味な子も欲しくなる、みたいな……。


真実がどうであれ、ご指名をもらえることほどありがたいものはない。


きらりさんがいなくなってしまって寂しいけど……。

私ひとりでもお店の売上に貢献できるようにもっと頑張ろう。


そう思いながら接客に勤しんでいる途中、キッチンへドリンクを取りに行くと、スタッフさんから小さく声をかけられた。


「ノアちゃん、8卓に大沢さんが来られてるんだけど、今入れそう? 無理なら今空いてる子についてもらうけど」


接客に集中していたせいで全然気づかなかった。

4番卓のお客様には、少し席を外すと伝えてあるし……。
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