気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
「手間かけさせやがって。……帰るぞ」
帰る……?
どこに帰るの?
待ってる人なんていないのに。
私が家に帰っても誰も喜ばないのに。
まろんだって、本当はもっと美味しいご飯を食べさせてくれる飼い主がいいに決まってる。
毎日たくさん遊んでくれる飼い主がいいに決まってる。
「……もう、……帰りたく、ない」
「………」
「このまま死に……たい」
胸のうちに閉じ込めていたものがあっさり零れていくと、直後、とても温かいぬくもりに包まれた。
「それは俺に抱かれてから言え」
体の浮く感覚がする。
優しく唇を塞がれる感覚がして……
──意識はぷつりと途切れた。