気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
正直、煙草にいいイメージはないし、煙たいのも苦手だけど。


「歴くんのはなんか甘くて……いい香り」

「甘い? 別に甘い系の銘柄じゃないんだけどな」


そう言って少し不思議そうにする。

銘柄とかよくわからないのであいまいに頷いておいた。


そういえば前にも思ったけど、歴くんって何歳なんだろう。

煙草を吸うんだから普通なら二十歳以上ないとおかしいけど、京櫻家の息子さんが律儀に法律を守っているとも思えない。



「歴くんて、何歳なんですか」


思ったことがそのまま口に出た。


「お前より三つ上。合法だろ?」


三つ……。

”ノア”は十九歳の設定だったから……てことは二十二?


……あれ?
でもさっき、私……『叶愛』って呼ばれなかったっけ?


記憶を巻き戻してみて、ひやっとする。

いや、頭がぼんやりしてたから聞き間違えただけだ。きっとそう。


次第に意識が覚醒してくる。
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