気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす

ぱち、と瞬きをしてみた。

相手に先程までと特に変わった様子はない。


聞き取り、間違えた……かな。



「結婚するん……ですか」


すごく間抜けな声が出た。
そんな自分にちょっと笑ってしまった。


まさかね。

何と聞き間違えたんだってバカにされて終わりに決まってる。


だけど、歴くんはにこりともせず。



「俺と結婚すれば黒菊家の安泰は絶対保証するし、悪いハナシじゃないだろ」

「……な、……」


開いた口が塞がらないという経験を、初めてした。

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