気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
嬉しそうな大沢さんを見ているとこちらも自然と口元がほころんだ。
人間関係や仕事の愚痴をこぼしていく人が多い中、こうやって好きなキャラについて熱く話してもらえると、幸せをおすそ分けしてもらっているような気分になれる。
ここは疲れた旦那様たちを癒やすためのお店なので、
そういった愚痴に寄り添うことももろん大事にしているけど。
「じゃあ今日は“しゃんでりあ♡ぱふぇ”と、“みらくるおれんじ”にしようかなぁ。ノアたんは何飲みたい?」
「えぇっ、私も頂いていいんですか?」
「当たり前だよぉ、一緒に飲みたくて来たんだから」
指名料だけでプラス千円かかるのに、ドリンクまで入れてくれるなんて大沢さんは本当に優しい。
美少女が好きなはずの大沢さんがどうして地味な私を指名してくれるのか理由はわからないけど、
指名してもらえたからには精一杯ご給仕しなくちゃ。
そう、はりきってドリンクをテーブルに運んでいるときに――悲劇は起きた。