気高き暴君は孤独な少女を愛し尽くす
浮かれちゃだめ。
結婚の約束をしたといっても、そこに愛も情もないんだから。
歴くんは、結婚すれば私を『好きにできるから』と言っていた。
もともと返金代わりに体を差し出すという約束があったので、わざわざ結婚する必要はないのでは……とも思ったけど。
お金に替わる行為となると、少しは優しく扱わなければ、などと面倒な雑念が歴くんにつきまとうのかもしれない。
事実上結婚してしまえば法律的にも同意の上での行為だと見なされるので、気兼ねなくやれて都合がいい、みたいなとこだろうな。
もらったお金の分だけという制限もなく、歴くんが飽きるまで永続的に縛ることも可能だし……。
言ってしまえば、私は歴くんの性欲処理の道具でしかないんだ。
それでもいい。
必要としてもらえるなら奴隷のような扱いでも構わない。
ひとりで不安にまみれた夜を過ごすより、よっぽど……。
少しぬるくなってきたお湯を最後に肩にかけて、ゆっくりと湯船から立ち上がった。