SENTIMENTALISM
四回のコールが鳴っても梨紗はでない。
あたしは焦燥感で酷く苛立っていた。
歯をギリリと噛み締めて、背中には冷たい汗が流れている。
七回目のコールでやっと梨紗の声がきけた。
「もしもぉーし!」
妙に甲高く白々しいほどの猫撫で声で彼女は電話にでた。
「もしもし?!梨紗?!」
『なぁーにぃー?なんでそんなに必死になってんのぉー?超ウケるー』
梨紗のキャハハと笑う声が受話器越しに聞こえる。そして、その後ろには爆音ともいえるような音楽が流れている。
「梨紗今どこにいるの?!?慧斗から全部聞いたよ!!あたし綾子さんを探しているの!!ねえ、どこにいるか知らない?!?」
『綾子さんにぃー会ってぇどうする気ー?』
さっきから梨紗は様子がおかしい。呂律が全然まわってない。
「梨紗、もしかしてすごく酔ってるんじゃない?何してんの?!」