SENTIMENTALISM
薄暗い中は耳をつんざくような爆音が鳴り響いていて、煙草の匂いが充満している。
床にはところどころに投げ捨てられたとみられる空になった缶ビールが転がっている。
そこで音楽に合わせて踊り狂う男女たち。
あたしは耳を塞ぎながら顔をしかめてゆっくり辺りを見渡して梨紗の姿を探した。
「キャハハハ!」
ふと、一つの輪になっているグループに目をやると梨紗が酎ハイを手に顔をあからめながら甲高い声で笑っていた。
「梨紗!」
急いであたしは人ごみをすりぬけて、彼女の元へ走った。