SENTIMENTALISM


細い彼女の肩を掴んで振り向かせると、梨紗はそれまでの馬鹿笑いをピタリとやめてニヤリと口角をあげた。

「ほんとに来たんだ」

「言ったでしょ。あたしは逃げない。……もう、逃げたりなんかできないから」

「梨紗ー?だれコイツー?」

梨紗の周りにいた染めすぎてパサパサになった髪をした奴らがあたしを睨みつける。

どうやらあたしは歓迎されていないらしい。

「んー?りくって言うのー?あたしに喧嘩売りにきたんだってー」

「マジで?!ハハハ!こんな真面目ちゃんもケンカとかするの?!」

あたしは笑い声を無視して梨紗の腕を掴んだ。

「梨紗!帰るよ!あたし、ちゃんと話がしたい」

「放してよ!」

梨紗はあたしの手を力いっぱい振り払った。

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