SENTIMENTALISM
すると、透明な雫が梨紗の赤く腫れた頬に流れ出した。
顔をそむけて必死になって涙を抑えようしている梨紗の強がりに、胸がぎゅっと締め付けられる。
こんな不器用な女の子あたしは他に知らない。
「……帰ろうよ梨紗。一緒にあの部屋に戻ろう。またみんなで笑お?」
「……慧斗はきっとあたしを許してくれないし、りくだって本当はあたしのこと面倒臭いんでしょう?」
ブランド物の洋服とたくさんの彼氏に可愛いらしい容姿。
とりあえず欲しいものは手にいれているのに1番欲しいものだけが恐くて手を伸ばせない女の子。
「……ほんと、バカだなぁ」
優しく微笑って、梨紗の小さくて柔らかい掌を握ってやる。
とても暖かくて、なんだか嬉しくなった。
「……あたしも、またあの場所に戻っていい?」
大粒の涙をぽろぽろ流す梨紗の瞳はゆらゆら揺れて、とても綺麗だ。
「いいよ」
あたしが微笑むと、梨紗はあたしをぎゅっと抱きしめた。
梨紗は不器用で、意地っ張りだけど
本当はとても脆い。