SENTIMENTALISM
ten
そのあと梨紗の口から綾子さんの自宅の住所を教えてもらい、その足で一人すぐさまむかうことにした。
梨紗の「気をつけてね」の言葉に、黙って微笑んでから外にでた。
天気はだんだんと灰色に変わり、重たそうな雲が浮かんでいる。ジメッとした嫌な空気が肌をまとう。
擦れ違う人にもカサを所持している人が多い。
排気ガスの臭いに混じり雨の匂いも強くなってきた。
そろそろ降り出すかもしれない。