SENTIMENTALISM
梨紗に教えてもらった行き方に従って歩いていると見上げると眩暈するくらい高いマンションが建っていた。
「ここ……か」
心臓がバクバクと大きく響いて、握りしめた手には汗。
どうしようもないくらい緊張しているのがすぐに分かった。
本当は引き返せるものなら引き返したい。
だけど逃げたくはない。
大切なものを取り戻すと決めたんだ。
あたしは目をつむり大きく深呼吸してから、中へと立ち向かっていった。