SENTIMENTALISM
「お話って何かしら?」
綾子さんふっくらとした唇を上品に笑わせる。
この人の美しさは、薔薇の棘に似ている。美しさに魅せられて手を触れると棘が刺さって血がでてくるのだ。
そしてそんな棘にやられた男の人はいっぱいいる。
「……慧斗のことで…」
スカートの上に置いていた手をぎゅっと強く握りしめた。
綾子さんは顔色ひとつ変えないで、あたしの話をニコニコしながら黙って上手に続きを促している。