SENTIMENTALISM


「……綾子のことだって本当は殺したいくらい憎いけど、あの人は瞳に出会う前の何もなかった俺を救ってくれた。その記憶が消せない。あの人が俺に執着する寂しさだって、わかるんだ。俺も何もなかったから。だから瞳と俺が付き合ったとき笑っていたけど……ほんとは……」


寂しさが連鎖する。
なんてセンチメンタル。

冷たい空気に慧斗の嗚咽がこぼれる。

「結局最後は、瞳のことを守れなかった俺のせいなんだ。俺が瞳を、追い込んだんだ」


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