SENTIMENTALISM


あたしは小さな深呼吸をしたあとに、思い切って声をだした。


「……慧斗、あたしに、瞳さんに会わせて」


そのとき一瞬の力強い風が吹いた。

「……どうして?」

「これからの慧斗を、瞳さんとの思い出を含めて支えていくことを誓いたいから」


きっと慧斗は瞳さんを忘れない。

慧斗の心の深い柔らかな部分にあたしが息をすることはないだろう。


それでも、いい。


せめて彼がこれ以上傷つかないために、あたしは生きていたいと願う。

誰も見てくれなかったあたしを受け入れてくれた彼を、今度はあたしが両手広げて受け入れたいんだ。

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