SENTIMENTALISM
狭い密室のエレベーターに紫煙が充満して、息苦しい。
肺を犯されているような感覚が不快で、息をとめてみる。
そんなあたしに気付いているのか、いないのか涼しい顔して煙草を吸いつづける梨沙に苛立ち始めた。
これから会うだろう、あたしの中での白河慧斗の人物像も最悪。
どうやら今から行く場所は、他人を嘲笑い手玉にすることをいとわないような奴らの吹き溜まりらしいから。
あたしは今すぐにでもエレベーターを降りたい気持ちでいっぱいだった。
エレベーターが一階一階昇っていくと同時に、あたしの憂鬱も募っていく。
後悔の渦に飲み込まれる。
しかし
そんなあたしに救いの手を差し延べるものは何もなく、エレベーターはあっという間に7階に着いた。