SENTIMENTALISM
「奪ってやろうと思ってた。……だけど、瞳がマンションから飛び降りて意識不明になってから、慧斗は見ていられなくなるくらいボロボロになった。自分を責めて責めて堕落して、いつしか知らない女の子と頻繁に遊ぶようになってた」
それは今まで聞いたことのない慧斗の過去だった。
「……それでも、意識不明のまま管につながれた瞳のお見舞いにはずっといってる。あたしが奪う隙なんてどこにもなかった…」
梨紗の声がだんだん涙声になって、震えているのがわかる。
「慧斗があんなにも怒ったのは瞳が飛び降りた日、慧斗が自分を責めたとき以来なんだよ。それから瞳以外の女の子は簡単に捨ててきたくせに、りくのことは守った」