SENTIMENTALISM
すると玲はまた深刻な顔をして、話を続けはじめる。
「……けれど、これだけは分かってほしい。この場所は本当にりくが思っているほど、暖かくなんてない」
そんなの嘘だと、玲がまたからかっているのだと思いたいけれど
玲の真剣な表情が彼の言葉が真実であることを、あたしに突き付ける。
「……あたし…わからないよ…」
「俺がりくをこの場所から遠ざけようとしたのは……お前を守りたかったから」
玲の言葉の一つ一つがあたしの心のあたしさえ知らない奥の奥へと浸透していく。
不思議だ。
誰かに大切にされるのはもっと暖かいものだと思っていたのに
どうして、こんなにも切なくて胸が苦しくなるのだろう。
「………教えてやるよ。りくが自分の足でこの場所に戻ってきたのなら」
あたしはゆっくり頷いた。