SENTIMENTALISM
勢いよくマンションを飛び出したものの、あたしは綾子さんの行きそうな場所の見当なんて一つも知らない。
彼女はいつもフラリとマンションに来て、そしてまたフラリと出ていく。
男の家をいったりきたりしていることだけはぼんやりと知っていた。
彼女を作る滑らかな曲線はいつだって挑発的で魅力的なのだ。
たとえばだらし無く胸をはだけさせてビールを飲んでいたとしても、少しも落ち度として思わせない。
その姿すら、魅力だと思わせる魔性のチカラを持っている。
あたしは初めてあったときから、ひそかにそんな彼女のオンナの姿に憧れていた。