それでもキミと、愛にならない恋をしたい
夕方まで一日中一緒だから、話題も考えておかないと話が尽きてしまうかもしれない。先輩を退屈させないように、少しでも楽しいと思ってもらえるように。
昨夜、何度もシミュレーションしたんだから大丈夫。下調べもバッチリだ。
「じゃあ、早速行くか」
「はい」
図書館で並んで勉強していたのが定着して、一緒にいると私の右側が先輩の定位置になっている。
なんとなく右手をそわそわさせながら、隣に並んで歩き出した。
待ち合わせした駅からふたつ先で降り、構内を歩いて長いエスカレーターを上ると、左手に大きな観覧車が見えた。
「わぁ、久しぶりに近くで見るとめちゃくちゃ大きい」
「何回見てもでかいよな。ここ来るの久しぶり?」
「たぶん小学校の遠足以来です」
「そんなに? じゃあ結構変わってるんじゃない? 巨大迷路とかARシューティングのアトラクションとかなかったし」
「先輩は……詳しいですね」