それでもキミと、愛にならない恋をしたい

 けれど先輩の耳はうっすら赤く染まっていて、その言葉が本心なのだと伝えてくれる。きっと私も同じか、それ以上に赤くなっているに違いない。

 嬉しくて、恥ずかしくて、でもやっぱり嬉しくてたまらない。

 わかるだろって言われたけど、これはどう答えるべきだろう。『わかります』って言うの? それとも『私も好きです』って言えばいい?

 告白なんてしたことないし、告白されたのもこれが初めて。ドキドキしすぎて心臓が痛い。普段楓先輩の前でどう振る舞っていたのかさえわからなくなってきた。

 先輩への恋心を自覚して間もないのに、急展開すぎて夢みたい。

 こんなつもりじゃなかったにしろ、よく自分から手を繋ぐ提案なんてできたなと思う。

 きちんと気持ちは伝わっただろうか。先輩に心を読まれるのは嫌じゃないし、気持ち悪いと思ってもいないこと。誰かに失望したり、罪悪感を覚える必要もない。だって先輩は、なにも悪くないんだから。

< 131 / 272 >

この作品をシェア

pagetop