それでもキミと、愛にならない恋をしたい
「俺、今めちゃくちゃ幸せ」
「……私も、すごく幸せです」
微笑み合い、ふたりとも自然と窓の外に視線を向ける。
街中のオフィスビルが点灯してきらびやかな光を放ち、先程まで遊んでいた遊園地や、海を行き来する船、ベイブリッジも負けじとイルミネーションが輝いている。それらが水面に反射し、さらに眩しく夜景に彩りを添えていた。
きっと何年経ってもこの景色は忘れない。今日この日を忘れたくない。
そう心に誓うと、楓先輩は優しく微笑んで、「俺も」と繋いだ手をぎゅっと握ってくれた。