それでもキミと、愛にならない恋をしたい
* * *
「今日も図書室に行くの?」
帰り支度を終えてスクールバッグを肩にかけると、京ちゃんがニヤニヤしながら近寄ってきた。
「うん、そのつもり」
「毎日佐々木先輩の部活が終わるの待ってるなんて、菜々は健気だねぇ」
これまでのように下校時間まで図書室で過ごすのは変わらないけれど、今は事情を知った楓先輩が、部活終わりに図書室に迎えに来てくれるようになった。
『家まで送ってく。学年も違うし、俺は部活で朝練もあるから平日はなかなか会えないし。せめて一緒に帰ろう』
遊園地からの帰りの電車の中で、そう言ってくれた先輩に私は戸惑った。
だって部活で疲れてる先輩に家まで送らせるだなんて。そりゃ、私は長く一緒にいられて嬉しいけど、先輩は帰る時間も遅くなっちゃうし迷惑なんじゃ……。