それでもキミと、愛にならない恋をしたい

「まだ既読つかない?」
「うん、だるくて寝てるとか……かなぁ」

 まだ病欠と決まったわけじゃないけど、もしそうなら少し心配だ。先輩は例の能力のこともあってご両親とあまり折り合いがよくなさそうだし、ちゃんと食事を摂って薬を飲めているだろうかと不安になる。まさか倒れてるなんてことないよね……?

「日野先輩に聞いてみようか。もしかしたら、なにか連絡来てるかもしれないし」
「うん、ありがとう」

 私があまりに心配げな表情をしていたからか、すぐに京ちゃんが日野先輩に電話をしてくれた。

「もしもし、今大丈夫? 佐々木先輩って今日お休みだよね? 菜々が連絡がとれないって心配してて。……え、お墓参り?」

 体調不良とは無関係の言葉に、首をかしげる。もしかして法事でお休みしているだけなのかな?

 電話の向こうの声は私には聞こえないけれど、法事でお寺にいて、スマホの電源を切っているのなら既読にならないのにも説明がつく。

 ホッとしたのもつかの間、楽観的な考えをすぐに打ち消さなくてはならないほど、京ちゃんの顔が徐々に険しくなっていく。

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