それでもキミと、愛にならない恋をしたい
「その話、菜々にしてもいい? うん、今一緒なの」
時折、気まずそうに私の方に向けられる視線に、なぜか胸の奥から嫌な予感が込み上げてくる。
京ちゃんは「わかりました、中庭のベンチにいます」と言って電話を切った。
「京ちゃん……?」
「日野先輩が来てくれるみたい。先にお弁当食べてよ」
頷いたものの、電話の内容が気になってお昼ごはんどころじゃない。中庭のベンチに座って膝の上に食べる気のないお弁当を広げていると、片手に三つの惣菜パンを持った日野先輩がやってきた。
「ごめん、お待たせ。購買が結構混んでて」
「……それ、全部お昼ごはん?」
「え? そうだよ」
「野菜摂る気ゼロだね」
「ふたりはお弁当なんだ。そんなちっちゃいので足りる?」
「足りるよ。それより、さっきの話……」