それでもキミと、愛にならない恋をしたい

 京ちゃんが私に気を遣って楽しそうな話を切り上げ、本題に水を向けた。それに対して、日野先輩は気まずそうな顔をして後頭部の髪をくしゃっと掻き上げる。

「あー、こういうのって他人から聞くもんじゃないとは思うんだけどさ……」

 そう前置きして、日野先輩は京ちゃんの隣に座ると、私に向かってゆっくりと話してくれた。

「今日、楓は墓参りに行ってると思う。俺たちと同じ中学の同級生だった原口希美って子が、二年前の今日、事故で亡くなったんだ」

 先輩たちと同級生ということは、当時は中学三年生。そんなに若くして事故で亡くなってしまったなんて……。

「……その原口さんのお墓参りに?」

 命日にお墓参りをするのは不自然ではないし、二年前に亡くなったのなら三回忌の法要に出席しているのかもしれない。学校を休んでまで行くのは……かなり親しい間柄だったんだろうか。

「原口の墓は、原口の父親の実家がある九州らしくて、飛行機で向かったんじゃないかな。たしか去年もそうだった。朝に行って、その日のうちに帰ってきてた」
「飛行機……」

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