それでもキミと、愛にならない恋をしたい

 公園のベンチに座り、大きく息を吐いた。

 今頃先輩は帰りの飛行機の中にいるのかな。そろそろ連絡が来そうな気がして、私は昼休み以降スマホの電源を落としている。今は先輩と冷静に話をできそうにない。

 亡くなった彼女のお墓参りに行った楓先輩は、なにを思ったんだろう。

 一緒の高校を志望していたと日野先輩が言っていたから、きっと事故がなければうちの学校に通っていたはずだ。

 楓先輩の隣にいるのは、私じゃなかったかもしれない。

 お互いに好きで、突然の死によって引き裂かれた楓先輩と原口希美さん。

 学校を休んでまでお墓参りに行くくらいだから、きっと強い思い入れがあって、いまだに忘れられない人なんだと思う。

 それなのに、残された楓先輩は原口さんにお花を手向けながら、私とも付き合い始めたの……?

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