それでもキミと、愛にならない恋をしたい

 そこまで考えて、私はゾッとした。顔から血の気が引くような、世界がぐにゃりと歪むような感覚に陥る。

 だって、それって、まるで私の両親と真央さんの関係性と同じじゃない……?

 まるで楓先輩がお父さんで、亡くなった原口さんがお母さん。私は、私がずっと受け入れられていない真央さんと、同じ立場……。

 そう気付いて愕然とした。

『ジンクスって、当たるんだな』
『え?』
『気付いてた? このゴンドラ、紫だったの』

 観覧車の中での会話が、鮮明に脳裏に蘇ってくる。

『俺、今めちゃくちゃ幸せ』
『……私も、すごく幸せです』

 あの時感じたとろけそうなほどの幸せが、中学三年生で命を落とした女の子の死の上に成り立っているのだとしたら……。

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